またにてぃsaxプレイヤーの妊娠・出産記

5.親子で舞台に

 妊娠7ヶ月を過ぎた頃から、おなかはどんどんでっかくなり、そのうえ胎動がどんどん激しくなる。夜ベッドに入り、ようやくネム気がやってきてさあねるぞ・・・・というときに限って、もぞもぞっ、ぽこっ!と動き出す。やっと眠れたと思うと夜中にぽっこーん!とでっかいキック一発で驚いて目がさめる。もう胎動がいとしいとかうれしいとかそういうレベルではなくなってくる。たのむし寝かしてくれ。

 とそんな激しい胎動は寝る時だけではなかった。MA-NGOMA(プロフィール参照)の練習中。このユニットは即興演奏なのだがエキサイトしてくるとハイトーンのロングトーン(長くのばす音)なんかを多用してしまうのだが、そのときにぼこぼこぼこぼこ。ふふん、わが子よ、おまえもエキサイトしとるんだな。なーんて思っていたけど、実の所どうやら酸素が少なくなって苦しがってただけらしい。なるほど母親の私が息苦しくなると子供には酸素がいかなくなるのはあたりまえである。

 などと気付いたのはあとのことであるが、この頃(妊娠中後期)の本番中はいつも胎動が強かった。だから舞台に立っている時がいちばん、自分は子供と一緒にいるんだ、という気持ちがあった。そういう精神状態は本番のテンションをもっともっと高めてくれる。つわりを脱して辛さがぬけたぶんも助けて、それまでになく本番が楽しく、演奏する事の喜びを最大限に感じられるようになったのであった。子供を妊娠する事ってこんなにも喜びがあることなんだな・・・と。

 しかしそんな時期もどんどん大きくなるおなかと反比例。お腹がおっきいと当然肺活量が減るし腹筋にも力が入りづらくなり、またまた楽器を吹く事がしんどくなってきた。それに自分がしんどいのもあるけど、楽器を吹いてると子供が苦しんでるんではなかろうか、となんだかかわいそうに思えてくる。そんなわけで演奏は9ヶ月目に入る直前で止め、その後9ヶ月いっぱいまででレッスンのお仕事もお休みすることになる。

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